事前調査 調査結果の記録及び掲示
05-Mar-2021
石綿指針
2 建築物等の解体等の作業における留意事項
2-1 事前調査
2-1-4 調査結果の記録及び掲示
石綿則第3条第1項から第3項までに規定する調査結果の記録及び掲示は、次の(1)から(5)までに定めるところによること。
(1)調査結果は、次のアからクまでの項目について記録すること。調査結果には、写真や図面を添付することで、調査した箇所が明らかになるよう記録することが望ましいこと。
ア 事業場の名称
イ 建築物等の種別
ウ 2-1-1の発注者からの通知の有無
エ 調査方法及び調査箇所
オ 調査結果(2-1-3の分析による調査を行った場合はその結果を含む)
カ 調査者氏名及び所属
キ 調査を終了した年月日
ク その他必要な事項
(2)調査結果の記録のうち、(1)ア、エ、オ、カ、キ及びクについて、作業場に掲示すること。掲示に当たっては、労働者のみならず周辺住民にも配慮し、見やすい位置に掲示すること。
(3)(1)の項目を記した調査結果の記録については、原本又は写しを作業場に備え付けること。
(4)調査の結果、石綿等の使用がないことが明らかとなった場合でも、(1)から(3)までに定めるところにより、その結果を記録し、掲示し及び備え付けること。
(5)調査結果の記録を40年間保存すること。発注者及び建築物等の所有者も同様に40年間保存することが望ましいこと。
具体的な留意事項
≪指針 2-1-4(1)≫
1.
石綿則第3条に基づく記録は 、石綿含有建材の有無と使用箇所を明確にし、その際、
- 石綿なしと判断した建材は、その判断根拠を示す
- 作業者へ石綿含有建材の使用箇所を分かりやすく伝える
- 調査の責任分担を明確にする
ことを目的に作成する。具体的には以下の通りである。
2.
「調査方法」に関して、石綿含有のおそれのある建材について、石綿なしと判断した場合は、その建材ごとに、メーカーの無含有証明書を添付するなど、判断根拠が明確となるよう記録を作成する。
石綿ありの判断は、発注者への説明責任など実務上の必要性等に応じ、記述や資料添付を行う。
3.
「調査箇所」に関して、分析を行った場合(特に石綿なしの場合)は、その根拠を明確にするため、試料採取箇所について、写真 、図面への記入、スケッチ又はこれらを組み合わせる等により、試料採取箇所が特定できるように記録を作成する。
また、現地調査の範囲を明確にするのは当然であるが、その際、設計図書の平面図のみでなく断面図や詳細図等を用い、建材の種類別に色分けする等、誰が見ても石綿含有範囲・部位がわかるように記録を作成する。配管やパッキン等図面で表現しにくいものは、図面での範囲の明示に加え、詳細図や写真等を組み合わせて該当部位を表現する。石綿非含有範囲についても建材の種類別に分類して表示することが望ましい。
4.
「調査者氏名及び所属」に関して、責任分担が明確になるよう、各建材について、
- 同一材料範囲の判断
- どの箇所から試料採取するかの判断
を行った者がそれぞれ特定できるよう記録を作成する。
試料採取履歴や「アスベスト分析マニュアル」の分析結果報告様式例は、試料採取箇所判断(指示)者等が明確になるように配慮した様式例となっている。
≪指針 2-1-4(2)≫
5.
石綿指針2-1-4の(2)に示す調査結果の項目について、その概要を掲示する。
その際、厚生労働省通達や大気汚染防止法令でも別途の掲示が規定されており、それらの掲示の趣旨がそれぞれ伝わるように留意しつつ、これらを1枚にまとめて掲示することも一般的である。
なお、条例で別途定めがある場合があるので留意すること。
(参考)
事前調査の結果の掲示場所については、石綿指針の本規定のほか、法令で、解体等工事の場所において、労働者の見やすい箇所、公衆に見やすい箇所とすることが義務付けられている。掲示事項は、石綿指針のほか、法令で規定されている。
石綿ばく露防止対策等の実施内容等について、厚生労働省通達により、関係労働者のみならず周辺住民へ周知するために作業現場の見やすい場所に掲示することが求められている。また、特定粉じん排出等作業に該当する場合には、作業方法等の必要事項を表示した掲示板の設置が必要である。
以上のほか、石綿に関連する労働安全衛生関係の掲示等には次のものがある。
労働安全衛生法令等 | 他法令 | |
事前調査結果 | 石綿則第3条第3項 | 大防法施行規則第16条の9、第16条の10 |
作業内容等 | 平成17年8月2日基安発第0802001号 | 大防法施行規則第16条の4 |
作業主任者 | 労働安全衛生規則第18条 | ー |
飲食喫煙禁止 | 石綿則第33条 | ー |
石綿の有害性等 | 石綿則第34条 | ー |
立入禁止 | 石綿則第7条、第15条 | ー |
≪指針 2-1-4(4)≫
6.
これらの記録は、工事中に必要に応じて閲覧等できるように、備え付けておくことが求められる。
≪指針 2-1-4(4)≫
7.
事前調査の結果、石綿がなかった場合でも、結果記録の掲示、備付けが必要である。《石綿則第3条第3項、大防法第18条の17第4項》
≪指針 2-1-4(5)≫
8.
施工者は、自らが使用する労働者の健康管理の観点から、事前調査結果を作業記録と同様40年間保存することが必要である。
発注者及び建築物等の所有者も石綿飛散防止対策に対し責務を有していることから、同様に事前調査結果を40年間保存することが望ましい。
9.
なお、解体等工事の受注者(施工者)は、発注者に対し調査結果を書面で説明しなければならない。大防法に基づく届出が必要な場合には、届出事項の説明も必要となる。≪大防法第18条の17第1項、大防法施行規則第16条の8≫
石綿障害予防規則
(事前調査)
第三条 事業者は、次に掲げる作業を行うときは、石綿等による労働者の健康障害を防止するため、あらかじめ、当該建築物、工作物又は船舶(鋼製の船舶に限る。以下同じ。)について、石綿等の使用の有無を目視、設計図書等により調査し、その結果を記録しておかなければならない。
一 建築物、工作物 又は 船舶の解体、破砕等の作業(石綿等の除去の作業を含む。以下「解体等の作業」という。)
二 第十条(*1) 第一項の規定による石綿等の封じ込め 又は 囲い込みの作業
2 事業者は、前項の調査を行ったにもかかわらず、当該建築物、工作物 又は 船舶について石綿等の使用の有無が明らかとならなかったときは、石綿等の使用の有無を分析により調査し、その結果を記録しておかなければならない。ただし、当該建築物、工作物又は船舶について石綿等が吹き付けられていないことが明らかである場合において、事業者が、当該建築物、工作物又は船舶について石綿等が使用されているものとみなして労働安全衛生法及びこれに基づく命令に規定する措置を講ずるときは、この限りでない。
3 事業者は、第一項各号に掲げる作業を行う作業場には、次の事項を、作業に従事する労働者が見やすい箇所に掲示しなければならない。
一 第一項の調査(前項の調査を行った場合にあっては、前二項の調査。次号において同じ。)を終了した年月日
二 第一項の調査の方法及び結果の概要
事業者は、その労働者を就業させる建築物若しくは船舶の壁、柱、天井等又は当該建築物若しくは船舶に設置された工作物(次項及び第四項に規定するものを除く。)に吹き付けられた石綿等又は張り付けられた保温材、耐火被覆材等が損傷、劣化等により石綿等の粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、当該吹き付けられた石綿等又は保温材、耐火被覆材等の除去、封じ込め、囲い込み等の措置を講じなければならない。
2 事業者は、その労働者を臨時に就業させる建築物若しくは船舶の壁、柱、天井等又は当該建築物若しくは船舶に設置された工作物(第四項に規定するものを除く。)に吹き付けられた石綿等又は張り付けられた保温材、耐火被覆材等が損傷、劣化等により石綿等の粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、労働者に呼吸用保護具及び作業衣又は保護衣を使用させなければならない。
3 労働者は、事業者から前項の保護具等の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。
4 法第三十四条の建築物貸与者は、当該建築物の貸与を受けた二以上の事業者が共用する廊下の壁等に吹き付けられた石綿等又は張り付けられた保温材、耐火被覆材等が損傷、劣化等により石綿等の粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、第一項に規定する措置を講じなければならない。
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