時間的制約を受ける公共土木工事の積算

11-Dec-2020

 

公共土木工事において、継続的に時間的制約を受け通常の作業時間を確保することができない場合積算に係る労務費の算定について、筆者の備忘録として記録いたします。

数値的なものは各都道府県の最新の積算基準をご参照下さい。

 






 

(1)時間的制約条件

1)現道の交通量の多い時間帯
2)通勤・通学の時間帯
3)公的な輸送機関(バス・鉄道等)のピークとなる時間帯
4)工事場所周辺地域の生活、各種営業活動等の時間帯等

以上の時間帯を避けた施工を必要とする場合とする。
ただし、ある特定の日のみの制約を受ける場合は適用しない。(例:毎週○曜日のみ)

 

(2)制約を受ける作業時間の適用範囲

制約を受ける作業時間については、4時間/日以上~7.5時間/日以下とする。
なお、制約を受ける作業時間が4時間/日未満の場合は、別途施工条件等を考慮し適正に積算するものとする。

 

(3)労務費の算定方法

時間的に制約を受ける工事の設計労務単価の補正割増しは、1)作業時間を算出し、2)補正割増係数の確認を行い、3)設計労務単価の補正割増しを行う。

1)作業時間の算出

拘束時間=作業終了時間-作業開始時間(標準拘束時間は9時間とする)
作業時間=拘束時間-1時間(休憩時間帯)(標準作業時間は8時間とする)

2)補正割増し係数

時間的制約状況の程度 補正割増係数
時間的制約を受ける場合 1.06
時間的制約を著しく受ける場合 1.14

時間的制約を受ける場合」:作業時間が7時間/日を超え7.5時間/日以下
時間的制約を著しく受ける場合」:作業時間が4時間/日を超え7時間/日以下

3)設計労務単価の補正割増し

設計労務単価は、次式により補正割増しを行う。

イ)通常勤務すべき時間帯(8時~17時)内において作業時間に制約を受ける場合設計労務単価

設計労務単価=公共工事設計労務単価×補正割増し係数

ロ)施工条件により、やむを得ず通常勤務すべき時間帯(8時~17時)を外して作業を行う場合設計労務単価(例-1,例-2)

設計労務単価=[公共工事設計労務単価+割増し賃金]×補正割増し係数

 


(例-1)20 時~6時の時間帯の中で 21 時~5時までの時間的制約を受けた場合

制約を受けた時間帯①

設計労務単価=[基準額+割増賃金]×補正割増し係数
= 基準額 × 1.5 × 1.14
= 基準額 × 1.71

ただし、割増し賃金 = 基準額 × 0.5
※所定労働時間内で20h~6hにかかる時間帯は基準額に1.5を乗ずる。


(例-2)18 時~4時の時間帯の中で 19 時~3時までの時間的制約を受けた場合

制約を受けた時間帯②

 

設計労務単価=[基準額+割増賃金]×補正割増し係数
= 基準額 × 1.428 × 1.14
= 基準額 × 1.628

ただし、α = 割増し率
= (1h×1.0+6h×1.5) / 7h
= 1.428

※所定労働時間内で20h~6hにかかる時間帯は基準額に1.5を乗ずる。
→ 19~20の1hが該当しないので上記の計算で算出。

ハ) 設計労務単価に他の特殊割増し(積雪寒冷地域での冬期割増し等)を合わせて考慮する場合は、割増し部分が重複しないように注意するものとする。

ニ) 機械付労務の労務費についても補正割増しの対象とする。

 

 






 

 

(4)機械損料の補正

時間的制約を受ける工事の積算にあたって、機械損料を補正する場合には「建設機械損料の算定について」(建設省機発第65 号)〔昭和55 年2月22 日付〕により、行う。

 

 




 

 

(5)工期の設定

時間的制約を受ける工事の工期設定にあたっては、制約された作業時間により適正な工期の設定を行う。

 

[Memo]夜間工事の労務単価

 

 




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