廃石綿と石綿含有廃棄物(アスベストの処理工事)

25-Feb-2021

 

「石綿含有廃棄物等」とは、「廃石綿等」及び「石綿含有廃棄物」のことである。

「廃石綿等」及び「石綿含有廃棄物」の定義の詳細を、「「建築物等の解体等の作業及び労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等における業務での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針」に基づく石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル[2.20版] 平成30年3月 厚生労働省」より抜粋する。

 

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廃石綿

  1. 建築物その他の工作物(以下「建築物等」という)に用いられる材料であって石綿を吹き付けられたもの(*1)から石綿建材除去事業により除去された当該石綿
  2. 建築物等に用いられる材料であって石綿を含むもののうち石綿建材除去事業により除去された次に掲げるもの
    イ 石綿保温材
     けいそう土保温材
     パーライト保温材
    ニ 人の接触、気流及び振動等によりイからハに掲げるものと同等以上に石綿が飛散するおそれのある保温材、断熱材及び耐火被覆材(*2)
  3. 石綿建材除去事業において用いられ、廃棄されたプラスチックシート防じんマスク作業衣その他の用具又は器具であって、石綿が付着しているおそれのあるもの(*3)
    石綿建材除去事業により発生する廃石綿等の具体例(*4)
  4. 特定粉じん発生施設が設置されている事業場において生じた石綿であって、集じん施設(*5)によって集められたもの
  5. 特定粉じん発生施設(*6)又は集じん施設を設置する工場又は事業場において用いられ、廃棄された防じんマスク集じんフィルタその他の用具又は器具であって、石綿が付着しているおそれのあるもの(*7)
    特定粉じん発生施設において生じる廃石綿等の具体例(*8)

 

 





 


 

*1 石綿を吹き付けられたもの

大気汚染防止法施行令第3条の3でいう「吹付け石綿と同義
石綿含有吹付け材と表現されることもあるが、以下「吹付け石綿」と表記する。「吹付け石綿」には、石綿含有吹付けロックウール(乾式・湿式)、石綿含有ひる石吹付け材、石綿含有パーライト吹付け材を含む

表 1-1 廃石綿等に該当する石綿建材の具体例

区分 石綿建材の具体例 製造期間 密度
(g/cm³)
吹付け石綿 吹付け石綿
石綿含有吹付けロックウール(乾式・湿式)
石綿含有ひる石吹付け材
石綿含有パーライト吹付け材







保温材 石綿保温材
けいそう土保温材
パーライト保温材
けい酸カルシウム保温材
水練り保温材
1914~1980
1890~1980
1961~1980
1951~1980
~1988
0.3 以下
0.5 以下
0.2 以下
0.22以下

断熱材 屋根用折版裏石綿断熱材
煙突石綿断熱材
~1989
~1988
0.5 以下
耐火被覆材 石綿含有耐火被覆板
石綿含有けい酸カルシウム板第二種
石綿含有耐火被覆塗り材
~1978
~1999

 

*2 同等以上に石綿が飛散するおそれのある保温材、断熱材及び耐火被覆材

密度が0.5g/cm³以下のものであって、軽く接触したり、気流があったりするだけで、材料に含まれる石綿が空気中に飛散するおそれのあるもので、粉体状のもの、若しくは感覚的には手で容易にもみほぐすことができるものが相当する。これに該当するものでは保温材としてけい酸カルシウム保温材等がある。また、密度が0.5g/cm³ 以下であって、石綿が著しく飛散するおそれのある断熱材、耐火被覆材についても同様に取り扱うこととする。

 

*3 その他の用具又は器具であって、石綿が付着しているおそれのあるもの

1.負圧・除じん装置に使用したフィルタ
(超高性能微粒子エアフィルタ(HEPAフィルタ)を含む)
2.特殊保護衣靴カバー
3.室内掃除用スポンジ等

 

*4 石綿建材除去事業により発生する廃石綿等の具体例

表1-2 石綿建材除去事業により発生する廃石綿等の具体例

    • 吹付け石綿除去物
    • 保温材、断熱材及び耐火被覆材除去物
    • 隔離シート
    • 防じんマスクのフィルタ
    • 負圧・除じん装置に使用したフィルタ(超高性能微粒子エアフィルタ(HEPAフィルタ)を含む)
    • 特殊保護衣、靴カバー
    • 室内掃除用スポンジ

 

*5 集じん施設

ろ過式集じん装置(バグフィルタ)、遠心式集じん装置(サイクロン)、電気集じん装置等

 

*6 大気汚染防止法第2条第11項に規定する「特定粉じん発生施設」

工場又は事業場に設置される施設石綿を発生し、及び排出し、又は飛散させるもののうち、その施設から排出され、又は飛散する石綿が大気の汚染の原因となるものであって、次の施設をいう。

表 1-3 大気汚染防止法第2条第11項に規定する特定粉じん発生施設

解綿用機械 原動機の定格出力が3.7kW以上であること。
混合機 原動機の定格出力が3.7kW以上であること。
紡繊用機械 原動機の定格出力が3.7kW以上であること。
切断機 原動機の定格出力が2.2kW以上であること。
研磨機 原動機の定格出力が2.2kW以上であること。
切削用機械 原動機の定格出力が2.2kW以上であること。
破砕機及び摩砕機 原動機の定格出力が2.2kW以上であること。
プレス(剪断加工用のものに限る。) 原動機の定格出力が2.2kW以上であること。
穿孔機 原動機の定格出力が2.2kW以上であること。

注)石綿を含有する製品の製造の用に供する施設に限り、湿式のもの及び密閉式のものを除く。

 

*7 その他の用具又は器具であって、石綿が付着しているおそれのあるもの

(1) 石綿空袋、(2) 石綿に汚染された作業衣等

 

*8 特定粉じん発生施設において生じる廃石綿等の具体例

    • 集じん粉
    • 防じんマスクのフィルタ
    • 集じんフィルタ
    • 石綿空袋
    • 石綿に汚染された作業衣

 


 

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石綿含有一般廃棄物

 

1.石綿含有一般廃棄物
 工作物の新築改築又は除去に伴って生じた一般廃棄物であって、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するもの

2.石綿含有産業廃棄物
 工作物の新築改築又は除去に伴って生じた廃石綿等以外の産業廃棄物であって、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するもの

 






 


 

石綿含有廃棄物は、以下に示す石綿含有成形板や石綿含有ビニル床タイル等が解体工事等により撤去され廃棄物となったものをいう。

石綿含有成形板とは
セメントけい酸カルシウム等の原料に石綿を補強繊維として混合し成形されたもののうち石綿含有率が0.1重量%を超えるものをいう。
石綿含有成形板では繊維強化セメント板(JIS A 5430-2001)が種類も多く、建築用に広く使用されてきており、石綿含有スレート(波板、ボード)、石綿含有パーライト板、石綿含有けい酸カルシウム板、石綿含有スラグ石膏板がそれに相当する。
この他、石綿含有窯業系サイディング(JIS A 5422-2002)、石綿含有パルプセメント板(JIS A 5414-1993)、石綿含有住宅屋根用化粧スレート(JIS A 5423-2000)、石綿含有セメント円筒等(JIS A 5405-1982)がある。また、石綿含有スレート・木毛セメント積層板(JIS A 5426-1995)のように石綿含有成形板との複合板等もある。
なお、これらの石綿含有成形板が廃棄物となったものは、主に産業廃棄物の「工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物」(がれき類)(令第2条第9号)又は「ガラスくず、コンクリートくず(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものを除く。)及び陶磁器くず」(令第2条第7号)に該当する。

 

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その他の用語の定義

 

石綿建材除去事業

石綿建材除去事業とは、建築物その他の工作物に用いられる材料であって石綿を吹き付けられ、又は含むものの除去を行う事業をいう。
なお、大気汚染防止法第2条第12項でいう特定建築材料を除去する事業(特定粉じん排出等作業)と同義である。
石綿建材除去事業により除去された石綿建材は、廃石綿等に該当する。

 

石綿含有成形板等除去事業

石綿含有成形板等除去事業とは、工作物から、石綿含有成形板や石綿含有ビニル床タイル等を除去する事業をいう。
石綿含有成形板等除去事業により除去された石綿含有成形板等は、石綿含有廃棄物に該当する。

 

排出者

石綿含有廃棄物等を排出する者をいう。

 

排出事業者

石綿含有廃棄物等を排出する事業者をいう。建築物や工作物の新築、改築又は除去を行う工事等では、原則として発注者から直接工事を請け負う者元請業者)が該当する。

 

発注者

建築物又は工作物の所有者又は管理者であって、建築物や工作物の新築、改築又は除去を行う工事等を他の者から請け負わないで発注する者をいう。

 

処理業者

廃棄物の収集運搬業又は処分業の許可を取得している者をいう。

 

処理

廃棄物の分別、保管、収集運搬、再生、処分等をいう。

 

処分

廃棄物の中間処理及び最終処分をいう。中間処理とは、減量化、減容化、安定化、無害化等を目的として行う処理をいい、最終処分とは埋立処分、海洋投入処分又は再生をいう。

 

 

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